佐渡実践者大学能登アテ林業地域研修旅行記


佐渡林業実践者大学恒例の平成18年度の研修旅行は、昨年の千葉・清澄の東京大学演習林と趣を変えて、石川県の能登半島に主としてアテ林業の勉強を目的として、アテビの会の有志も参加し、実施されました。
学長の小澤と事務局の飯塚が同行しました。

10月12日(木)



午後1時、直江津港で、佐渡からの一行28名と東京から参加の小澤が合流して能登に向かいました。
トンネルの多い、高速道ですが、進行方向右手に日本海が見えます。
親不知子不知の昔の難所もあっさり通過します。
飯塚さんが持ち込んだ林業関係のビデオ、8本のうち3本を見終わる頃には能登半島に入り、内灘を通過、スギ林とアテ林が見えて来ます。
宿泊予定地の輪島に近づいて来ました。

佐渡と能登は地形や風景が似ているようだとの声があがります。
資料で比較してみることにします。

石川県からいただいた奥能登、二市二町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)の総面積(カッコ内佐渡の数値以下同じ)は、11万3千ha(8万5千5百ha)です。
森林面積は、84,540ha(62,905ha)。
人工林面積は、42,542ha(12,999ha)。
樹種の内訳は、人工林ではスギ26,336ha、ヒノキ1,996ha、アテ9445ha。
こうしてみますと、面積は佐渡より一回り広いが、森林が多く互いに似たところがあります。
しかし、人工林の面積は、能登は圧倒的に高いことが分かります。

バスは、漆器の産地として有名な輪島に入って行きます。
街並みは大変美しく整備され、街中の美化についても努力がなされていることが分かります。

ホテルに着くと、石川県山林協会専務理事の三橋俊一さんのお出迎えを受けました。
自家山林で育てられた見事なクサアテの苗木を佐渡にお土産として持ち帰って欲しいとのこと、大変恐縮しました。
懇親会を兼ねた夕食の後は、部屋に戻って二次会兼勉強会もほどほどに翌日に備えて就寝しました。

10月13日(金)
目覚めれば素晴らしい天気、美しい海が見渡せます。
朝食もそこそこに、千年も続いているという、朝市の見学に出かけます。
新鮮な海産物、キノコなどの林産物が豊富に並べられ購買意欲をそそります。



続いて、アテ材で建築されたモデル住宅の見学、伝統的な漆塗り建築で耐久性抜群の雰囲気です。
ただし、外壁にはスギ材を使用しています。


アテ材による建築現場も見ることができました。


また、工房長屋では、輪島塗の解説も行われています。
有名な輪島塗の特徴を一言で言えば、130の工程があるということで、他産地の10倍程度の工程だということです。

バスで門前町へ移動、「元祖アテの木」を見学しました。

その後、アテの苗木づくりについて勉強しました。
岩下哲雄さんから取り木の技術について丁寧な説明をしていただきました。

昼食は能登町の「夢一輪館」で取りました。
ここのご主人がユニークなキノコ栽培を実行しておられます。
森林の除伐によって生じる枝条などをゴミとして処理することに非合理性を感じ、チッパーを導入、林内に傾斜に沿って幅50センチ、深さ50センチほどの溝を掘り、チップおよびキノコの菌床を土に埋めて置くと、マイタケなどのキノコが発生します。
これを天麩羅に揚げてソバ定食などとして提供したところ好評でお客が増えてきたとのことです。
地上に出てきたマイタケの写真をご覧ください。

午後は、穴水町の能登木材総合センターを訪問しました。
丁度、木材市が終了した後で、アテの優良材を見ることができました。

また丸太の自動選別機も導入されて、木材の動きも活発になってきているとのことで、活気が感じられました。


以上で、2日目の日程が終了しました。

10月14日(土)
最終日は、朝宿舎を出て、金沢市に向かいました。
丁度、石川県の農林水産振興祭が開催されており、これを見学しました。
大変大規模なイベントで、山林協会の三橋専務さんに案内をしていただきました。
(社)石川の森づくり推進協会のブースを訪問しました。
県内有力企業236社が会員になって森づくりが進められています。
谷本知事さんが総裁になっておられ、ブースの前で知事さんにもお目に掛かりました。


写真、平田氏(左)と三橋氏(右)

数多くの海の幸、山の幸が展示即売されていました。
その中で、炭の芸術作品の写真をお目に掛けることにします。

以上で、視察研修の日程をすべて終了し、直江津に向かいました。

なお、能登地域における景観整備や美化活動も進められていることが分かりました。
写真をご覧ください。

(以上、小澤普照 記)


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